シェクスピアの「じゃじゃ馬ならし」を読んでみよう(第1回)テラさん教授の読書の楽しみ

『じゃじゃ馬ならし 』(第1回)テラさん教授の読書の楽しみ(お話:寺島悦恩 セリフ:安野由記子&宮ヶ原千絵 聞き手&音楽:小林範子)シェクスピアの「じゃじゃ馬ならし」を読んでみよう

 先週はアイルランドのハロウィーンの話をし、アイルランドの土は肥沃ではないということを言いましたが、今日は、イタリア、ロンバルディア州、中心がミラノ。つまりアルプスの南麓、ポー川が流れる肥沃な農業地帯。ロンバルディアは世界の楽園と言われた場所。このイタリアの楽園、ロンバルディアのちょっと東の都市パドヴァを舞台に繰り広げられるシェイクスピアの喜劇『じゃじゃ馬馴らし』に触れてみましょうというのが今日の目的。

 やはり、古典なので、正直、読みにくい。舞台で見た方がうんと楽。といって、どんなに面倒かを知ってみるのも秋の夜長にはいいのかもしれないと思って選びました。飽きないように楽しく!
また、ピグマリオンということでも、この芝居は格好の題材かもしれません。
さてさて、うっかり忘れそうになるのですが、この『じゃじゃ馬馴らし』というお芝居には、序幕がついているのです。

 どういう序幕かといいますと、有名な芝居でいえば『夏の夜の夢』には主役級でボトムという面白い人物が出てきますが、狩猟帰りのある領主が、ボトムに似た、酔っ払って眠っている鋳掛屋のクリストファー・スライという陽気な男を、事もあろうに、お殿様にしてしまい、みんなで欺いて楽しもうといういたずらからできた序幕がついているのです。

 おまけに、ご丁寧にも、旅役者一行までやってきて、このいたずらにくわわるという始末です。  つまり、『じゃじゃ馬馴らし』というお芝居は、この可哀想なのかどうかわからない、幸福な束の間の夢をみせられているお殿様、実は鋳掛屋のスライが鑑賞なさる、愉快な劇中劇なのです。
シェイクスピアは、『ハムレット』しかり、劇中劇という手法が大好きですからね。

   さて、この『じゃじゃ馬馴らし』という喜劇はこんなふうに始まります。  妹のビアンカには求婚者が3人もいる。それに比べ、姉のキャタリーナときたら・・・。 姉の、このじゃじゃ馬とされるキャタリーナ、またはケート、つむじまがりで強情でガミガミかみつくばかり、ケートは男たちからはまるで悪魔そのもののように思われている。 妹ビアンカへの求婚者の一人ホーテンショーに向かっての彼女のはじめてのセリフは凄い。  じゃじゃ馬と言うぐらいだから、さてどう言うんだろうと観客は興味しんしんだが、まったく期待どおり、いや期待以上にのっけから物凄いセリフを吐くのだ が...